易学講座 易占

易経とコンピューターの共通点をChatGPTに聞いてみた(その1)

易経とコンピューターの共通点をChatGPTに聞いてみた(その1)

 2022年に対話型のAIとしてchatGPTがリリースされ、あっという間に登録者が100万人を突破、今後もますます爆発的に増えるのは間違いありません。画期的で利便性がある一方、諸刃の剣でもあります。読売新聞の第一面にて4月末に、「生成AIの脅威」というタイトルで連載記事が掲載され、個人情報の流出、偽情報の拡散、著作権侵害などの問題点が指摘されていました。
対話型AIであるChatGPTとは何なのか、電気工学や電子工学音痴のウメサンなりに、一所懸命にネットを駆使して調べてみました。対話型AIであるChatGPTのGPTは、Generative Pre-trained Transformerの略で、「生成可能な事前学習済み変換器」という意味になります。2022年11月30日に公開され、幅広い分野の質問に対し、インターネット上にある溢れ返るほど多くの情報から取捨選択、連結、融合して詳細な回答を生成でき、しかも人間が自然と感じる回答の生成をしてくれる人工知能チャットボットということです。
質問に回答する対話型ということで、ウメサンの脳裏に浮かんだのが、ウメサンも行っている易占です。易占も、先ず易神への質問を明確にしてから、易を立てます。易神への質問を「占的(せんてき)」と言いますが、誰が(who)、いつ(when)、どこで(where)、何を(what)問うのか、占的を明確にすることを最も大切とします。占的があいまいだと、答える易神も迷い、あいまいな回答になってしまいます。易占には、(五行易)、梅花心易などありますが、ウメサンは周易と断易を行います。
生成AIであるChatGPTは、コンピューターのシステムを進化させた自動生成システムなので、先ずは、易占のうち、周易のベースである易経とコンピューターの共通点について質問してみました。
以下の「」内がChatGPTの回答です。なお回答文には段落はありませんでしたが、回答文に対して批評するため、段落に分けて番号を振りました。「易経とコンピューターには、いくつかの共通点があります。
①まず、易経には、数学的な原理が多く含まれています。易経は、六十四卦(ろくじゅうしが)と呼ばれる64のシンボルによって構成されており、それぞれの卦は六爻(この線の組み合わせ※1によって、卦が形成され、それぞれの卦には象徴的な名前や解釈が与えられています。これらの原理は、現代のコンピューターの本質的な数学原理と類似※2しています。
②また、易経には、未来予測や意思決定のためのフレームワークが含まれています。未来の状況を予測し、最適な選択を支援するためのフレームワークを提供することを目的としています。
③また、易経は、古代中国の哲学や宗教と深く関連しています。 同様に、コンピューターサイエンスにおいても、哲学や人文科学が重要な役割を果たしており、哲学や人文科学の分野に関連する問題が増えています。
以上のように、易経とコンピューターには、数学的原理や意思決定フレームワーク、哲学的な関連性などの共通点があります。」それでは各項目毎に検証してみましょう。

①について
基本的によくまとまった回答になっていると感じますが、少し抽象的ですので、補足します。
※1の「この線」は、陽-と陰- -のことを言っているようです。説明されているように、易卦は六爻(こう)という、六つの陰と陽の組み合わせにより構成されており、2×2×2×2×2×2=64種類の六十四卦(大成卦ともいう)があり、各々易経によって、卦辞という解釈がなされています。
※2の「数学的原理と類似」というのは、コンピューターが0と1の二進法がベースとなっており、一方易卦は陰と陽により構成されており、0を陰、1を陽とすると、最も安泰であることを意味する易卦「地天泰」は、上卦は地=坤でオール陰、下卦は天=乾でオール陽ゆえ、0011で表すことができます。下表は、十進数、八進数、二進数と六十四卦の対応表です。

十進数、八進数、二進数と六十四卦の対応表1
十進数、八進数、二進数と六十四卦の対応表2

「六十四卦を二進数で表す」という質問もしましたが、
ChatGPTの回答は
地天泰を二進数で表すと、「111111000010」となります。
でした。
再回答を願うと、
地:0
天:63 (2進数では111111)
泰:2
したがって、地天泰は「0 63 2」と表すことができます。
でした。
易学はまだまだマニアックな学問的立ち位置なので、現状ではインターネット上の情報の不足や過ちがあり、回答も誤回答となってしまうのでしょう。この辺は今後の課題でしょうが、口伝を重視した閉鎖的な感の強い中国五術が、より開かれた学術となっていくことにより、更正されていくのだと感じます。
さて本題に戻ります。コンピューターは二進法をベースとした0と1の組み合わせにより、言語や数字はじめ森羅万象全てに対応せしめ、計算したり、表現したり、今日では統計的な予測まですることができ、現在は32桁の二進数(32ビット)、64桁の二進数(64ビット)を扱うことができるパソコンが主流です。二進法の0と1に適合する陰陽理論をベースとした易卦には確かに類似した数学的原理があります。驚くべきは、コンピューターのベースとなった二進法の数理をライプニッツが確立したのが今から三百数十年前の1698年であったのに対し、易経はすでに三千年ほど前に体系化されていたということです。

②③に関しては次回、検証したいと思います。

この記事はお役に立ちましたか?

★をクリックしてください。

平均評価 / 5. 投票数