擇日 易占

新元号「令和」発表前に行った断易実占結果の検証

 4月に入り、拙宅近隣の桜は新元号を祝うが如く満開となりました。拙宅には桜の木はありませんが、椿が満開となっています。平成時代も残り4週間ですね。

拙宅の椿

 さて4月最初のブログ記事は、掲題についてです。ウメサンが主宰させていただいている立命塾では、1月~3月に渡り、朝から夕方かけて一日一回計6回の易学講座を行っていますが、そのうち前半の3回は周易講座、後半の3回は断易講座です。3回のうち、3回目最終日は一日中、受講生各人が占的※1を定めての実占を行い、ボードに記して発表しています。本年は3/17(日)に最終日を迎え、実占と発表をしてもらいました。
 その中で受講生のバーバラさんが「4/1には発表される新元号は、どのような雰囲気の元号でしょうか。」という占的にて擲銭※2し、発表しました。擲銭の結果は下記のとおりです。

断易

 Mさんによる当日3/17の断曰※3は次のとおりです。
 断曰
 用神※4は、父母爻の三爻と上爻(六爻)ならびに応爻の三爻。応爻と父母爻が重複しているので、三爻が最終的に採用となる新元号と判断。最終選考では、複数候補があるが、父母爻が二つ出ているので、最終的に二つが残る。
 動爻である上爻未は五行で土、六獣は白虎ゆえ、動きがあり、落ち着いた強さを感じる名称で、三爻丑は五行で土、六獣は朱雀ゆえ、落ち着いた美しさを感じる名称である。
 動爻となっている上爻の未は日辰の丑から冲されて冲散となっている。一方の三爻の丑は、月建の卯より剋されて囚だが、日辰の丑と日併となり、旺じている。仇神※5となる四爻亥は、化爻未が日辰丑より剋されて回頭剋を免れるも、日辰より本爻亥は剋されて囚ゆえ、最終的に強い反対意見はなく、圧倒的な支持を受けて三爻、すなわち「落ち着いた美しさ」を醸し出す名称に決定すると断じる。

 補足
 バーバラさんは周易の理解度はかなり深いのですが、断易は苦手とされていました。しかし毎日の実占を重ねて克服され、上記の断曰の内容に、補足説明の余地はないと感じます。以下発表後、擲銭結果と照らし合わせ、若干の補足をさせていただきます。
 4/1の11:30過ぎに、新元号「令和」が発表されましたが、今回初めて、漢籍即ち中国古書からの出典ではなく、国書の万葉集「梅花の歌」からの出典となりました。
 最終候補としては漢籍から3つ、国籍から3つの計6つが、有識者を含めた会議に示されたようですね。
 3つの爻でなる八卦(小成卦)を上下に重ねて、6つの爻でなる大成卦が64種類作られますが、上卦は外卦、下卦は内卦とも呼ばれます。最終候補が6つで、漢籍と国籍が3つずつでしたが、外卦(上卦)が国外である中国の漢籍からの出典である3つ(久化、万保、万和)、内卦(下卦)が国内の古書からの出典である3つ(令和、英弘、広至)を表しています。
 そして最終選考で、恐らく2つに絞られ、多数決では満票とはいかないまでも大差で「令和」に決定したのではないでしょうか。応爻かつ父母爻の「令和」と争ったのは、もうひとつの父母爻である上爻に当たる候補で、動爻かつ六獣が白虎ゆえ、恐らく「久化」だったのではないかと推測します。
 バーバラさんの断曰のように、万葉集出典の「令和」は、落ち着いた美しさを醸し出している名称と感じます。
 最後に、典拠である「梅花の歌三十二首の序文」を転載します。
「時に、初春の令月(れいげつ)にして、気淑く(き よく)風和ぎ(かぜ やわらぎ)、梅は鏡前の粉(こ)を披き(ひらき)、蘭は珮後(はいご)の香を薫す(かおらす)」
 NHKによると「令和」を考案したとみられる中西進さんは、この序文について昭和59年の著書「萬葉集 全訳注 原文付」の中で、次のように訳しておられるとのことです。
「時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉(おしろい)のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている」
 本当に美しい文章ですね。これが序文とはびっくりです。本文にあたる梅花の歌・三十二首もぜひ読みたいと思います。
 それにしても、初めての国籍からの典拠、それも万葉集「梅花の歌」!
 嬉しさと共に、令和時代に向け、気を引き締めさせていただいたウメサンでした。

註)
※1占的・・・文字通り占う目的、テーマのこと。
※2擲銭・・・3枚のコインを6回振って、表裏により陽陰の6爻を出すこと。通常は中国清朝時代の乾隆帝古銭を使用する。3枚のうち1枚が表なら陽、裏なら陰、全部表なら老陽となり陰に、全部裏なら老陰となり陽に化す。
※3断曰・・・だんえつと読む。出された易卦より、占的に対する予測を表すこと。
※4用神・・・占断の主体、占断の対象、占断の主目的を『用神』と呼び、占的を明確にするということは即ち、この用神を定めることと言い換えることができる。
※5仇神・・・きゅうしんと読む。文字通りあだのかみで、五行で用神を生じる原神を剋する爻のこと。
 

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